2010年 04月 02日
anjing & rumah panggung
中庭97から:


seperti menyayangi anjing(犬を大切にするが如くにする)

アチェでは,結婚した男は新婚時代(つまり最初の子供が生まれるまで)を妻の両親と同居する。

seperti menyayangi anjing(犬を大切にするが如くする)とは,その時期の mertua(妻から見た夫の両親・夫から見た妻の両親,ここでは後者)が menantu(息子の妻・娘の夫,ここでは後者)に対する態度,すなわち,ひとつ屋根に暮らしても,両者が顔を合わすのはタブーとするアチェの慣習を言った表現だとか。

アチェでは,犬は番犬・猟犬としてごくふつうに飼われるが,なにせイスラム社会,犬に触れたりすることはタブー。seperti menyayangi anjing とは,mertua dengan menantu の関係を,そういう犬にたいする態度にたとえたわけである。

そんなわけで,畑が忙しい時期,手伝ってもらえまいかというような時にも,娘の口から婿殿にそのことを伝えさせる。そして実際に仕事を手伝う時も,舅殿があっちで働けば,婿殿はこっちで働くという風に,二人は決して顔を合わさないようにする。

日本でも,mertua-menantu の同居成功の秘訣は,玄関も台所も分けた暮らしとかいって,そういう構造の二世帯住宅の広告が入ったりするが,アチェでは,そういうハード的アプローチではなく,mertua-menantu 関係にある者が顔を合わせるのはタブーであるというルールを立てて,ソフト的にこの同居問題に対処している,そんな風に言えるかもしれない。[Sg 11.13.97]


rumah panggung(高床式の家屋)

アチェの伝統的家屋は高床式の家屋。家に上がる階段は12段というから,そうとうに高い。家に上がる時にはその階段に上がる前に履き物を脱ぐ。犬の居場所はこの階段の下。犬は小さいときからこの階段に上がらないように仕付ける。今はだんだん見かけなくなったが,昔は蓋式の板を装備した階段もあって,夜間,それで階段に蓋をしてしまったものだとか。階段は上の,そこで sembahyang もする屋内の床に通じている。階段の蓋は,不浄の動物である犬がその階段に上がって汚すようなことのないようにとの用心からである。

と書いてきたが,本項もまた犬の話ではなく,mertua-menantu の話。

朝いつまでも婿殿が起きてこない。年のせいで朝が早い mertua perempuan(姑)などは腹立たしくも思うだろう。そんなときは,早朝から下で仕事をしていた姑殿は杵なんかを柱にガンとぶつけてやる。そして「シーッ,向こう行け」てなことを言う。犬を追う風を装ったが,真意が別にあることは明白。上で寝ていた婿殿はとんで起きるという塩梅である。

これでこの mertua-menantu が顔を合わせるようなことがあったら,その時の気まずさは避けられない。しかし,両者が顔を合わせるのはタブー。うまく出来ている。[Sg 11.16.97]


いずれも,話好きのイムラン先生から仕込んだアチェの話である.
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by sanggarnote | 2010-04-02 15:14 | 事情


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