工藤尚子「宮武正道とインドネシア語研究-軍事郵便を中心として-」の発表のおかげで,久しぶりに薗田先生の辞書「標準馬来語大辞典」KAMOES BAHASA MELAJOE (INDONESIA) - NIPPON JANG LENGKAP を手に取った.
「宮武さんの思い出」 薗田顕家
宮武さんとご交際ねがうようになったのは,戦争のはじまる一,二年前です。馬来語の辞典をつくって欲しいと友人から頼まれた私は,この大事業を完成させるには,私一人ではおぼつかない。これはぜひ宮武さんにご協力をねがわねばならないと考え,今のお宅にお訪ねしたのが昭和十六年二月でした。編集の方針,資料等について打ち合わせ,私はほっとした気持ちで帰りました。三年の期限で着手しましたが,依頼者から急がれたため約半年早く刊行することができました。これが標準馬来語大辞典です。(『宮武正道 追想』 編集・発行 宮武タツエ,1993年)
こうして薗田顕家と共に編纂主任として加わった宮武正道がいなければ,序で「現代新語六千語を加えて完璧を期せるものなり」とうたえなかっただろう.
この辞書,昭和十八年発行(初版 20,000部)だが,このまま終戦を迎えたのではないだろうか.戦後,残った残部はみんなタバコに捲いて吸ってしまったと(薗田先生談).
参照:
宮武正道の辞書
http://sanggar.exblog.jp/8332514/黒岩康博, 宮武正道宛軍事郵便 ―インドネシア派遣兵士と言語研究者―
https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/repository/metadata/3700/GKH023707.pdf[Sg]
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